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―食物アレルギー、薬物アレルギー及び蜂刺されによる
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アナフィラキシーへの対応―
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アナフィラキシーとは、ハチ毒や食物、薬物等が原因で起こる、急性アレルギー反応のひとつである。即時型(あるいはI型とも呼ばれる)アレルギーに分類される。じんましん、紅潮(皮膚が赤くなること)等の皮膚症状、呼吸困難、めまい、意識障害等の症状、血液低下等の血液循環の異常が急激にあらわれるショック症状を引き起こし、生命をおびやかすような危険な状態に陥ることがある。これをアナフィラキシーショックと呼ぶ。アナフィラキシーを引き起こすきっかけは、ハチ毒アレルギー、食物アレルギー、薬物アレルギー、ラテックス(天然ゴム)アレルギー等である。 |
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1. アナフィラキシーショック |
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IgE抗体の関与する食物アレルギーである。アレルゲン食品摂取、直後から2時間に発症する即時反応が多い、皮膚(蕁麻疹、顔面紅潮)、気道(喘鳴、呼吸困難)、消化器(嘔吐)症状が誘発され、アナフィラキシーショックも11%にみられる。乳幼児に高頻度であるが、ショックは成人にも多い。誘発主要アレルゲンは、乳製品、卵、小麦、ソバ、ピーナッツである。アナフィラキシーは微量のアレルゲンで誘発され、日常食品における混入に注意が必要である。 |
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2. 薬物アレルギー及び蜂刺されによるアナフィラキシーショック |
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薬物アレルギーはペニシリン、セファロスポリンなどの抗生物質、非ステロイド系坑炎症薬、麻酔薬、筋弛緩薬等が報告されている。病歴、皮膚テスト、特異的IgE抗体などで原因が明らかなもの、または疑わしいものは回避する必要がある。逆に、今後使用できる薬剤を皮膚テストやチャレンジテストによって探すことが重要である。ハチ毒アレルギーは過去に蜂刺傷による全身症状や刺傷局所の過剰反応を経験した人はエピネフリン自己注射キット(エピペン)の使用が対処的治療法として有効である。小児は血管性浮腫や蕁麻疹がほとんどでショックにまで至る例は少ない。根本的治療法として減感作療法がある。 |
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平田博国先生(独協医科大学呼吸器・アレルギー内科学教室)
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3. 蜂刺されによるアナフィラキシーへの対応 |
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蜂刺されによるアナフィラキシーショックにたいしては、その応急処置としてエピネフリンの投与が最善である。今回エピペンが国内販売されるに当たり、これからの適応拡大とともに、教育・指導・PRが大きな課題である。 |
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4. 食物によるアナフィラキシーショックへの対応 |
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食物アレルギーは近年著しい増加傾向を示している。乳幼児期の主要原因食品は鶏卵・牛乳・小麦である。学童から成人期にかけては、エビ・カニ・魚・果物・ソバ・ナッツ類が主要原因食品となっている。即時型食物アレルギーの原因食品は経年的に異なっていくのが特徴である。症状は大きく、皮膚粘膜症状、消化器症状、呼吸器症状、全身性反応と分類されるが最重症がアナフィラキシーショックである。食物アレルギーによるアナフィラキシーショックを起こした場合の治療はエピネフリンの皮下注・筋注が第1選択である。欧米で患者自身が緊急時に自己注射することができる「EPIPEN」の導入が望まれてきたが、わが国では体重30Kg以上の成人を対象とした蜂毒アナフィラキシーのみ限定され承認された。(食物によるアナフィラキシーには未承認)アナフィラキシーを含む重篤な食物アレルギーによる健康被害を防ぐ対策として企業に製造食品に含まれる卵、牛乳、小麦、ソバ、ピーナツの表示が平成14年4月より義務付けられた。
しかしこれらの対策はまず一歩であり、患者周囲の理解を促すことや更なる対策が望まれている。
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海老澤元宏先生(国立相模原病院臨床研究センター部長)
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