ご存じのようにアレルギーに悩む子どもたちが増えています。その中で食物アレルギーの子どもはアレルゲンを摂取することによって意識障害や血圧の低下を伴うアナフィラキシーを起こしてしまうことがあり、命の危険と隣り合わせにあります。その恐怖から救ってくれるのは、エピペン(エピネフィリンの携帯用の自己注射)です。が残念ながら、今回の認可が「大人の蜂毒」に対してだけであったことでとても大きな失望をしております。
坂口大臣をはじめ、多くの方々のご尽力により、アレルギーに対しての予算が増額され、学校への取り組みも計画されているようで嬉しく、大きな期待を寄せております。私たち親の会も学校への取り組みに関して親の経験を聞いていただく機会があればと願っております。食品表示も法制化されていますが今のところは5品目だけであり、又、事前に包装されたものだけが対象です。プリマハムのような例が今後ないとは限りません。企業倫理だけに頼ったのでは、以前の食品メーカーや乳業メーカーのようなモラルのない不祥事が直接命にかかわる子どもたちは、安心して食品を取ることが出来ません。
例えば、小麦表示の義務のない製品でも、その生産ラインが小麦と同じであったり、建物が違っても、同じ人が行き来するだけでその抗原の混入によって、アナフィラキシーを起こす場合があります。また、学校給食のカレールーに入った微量のピーナッツにより、お友達と同じ部屋で食事が出来ないお子さまもいらっしゃいます。ほかの患者会では、数年前に亡くなったお子さまもいらっしゃいます。これらのことは、普段いくら注意していても防ぐことが大変に難しいことです。その中で、万が一のことに備え子どもたちの命を救えるのは、この携帯用自己注射だけなのです。
学校での使用などでも、解決しなくてはならない問題もいくつかあると存じます。しかし、尊い人命を守る手段が限られており、そしてその手段が現に存在するのですから、ほかの問題は、日本小児アレルギー学会や小児科の医師の方々と私たち患者会も力を合わせ、厚生労働省や文部科学省と共にその問題解決して参りたいと願っております。そのための努力は惜しまないつもりでおります。
エピペンの食物アナフィラキシーへの適応拡大と小児用エピペンの認可を坂口力厚生労働大臣のご英断をいただきまして、ぜひ是非その実用に向けてご理解を賜りますことを、切に願うものです。